ずっと好きだと言えなかった
「……なぁ、ホントにどうしたわけ?」

「……何でも、ないよ」

「じゃあ何で泣いてるんだよ。何で俺のこと無視してたんだよ」

「……っそれは」



千葉君の言葉に言葉が閊える。


言い逃れできない。千葉君の探るような目が怖かった。わたしは居た堪れなくなって目を逸らす。


千葉君の目がわたしから雨に逸れたとき―――――背を向けて走り出す。雨が顔や制服に当たる。冷たい。水を吸い込んだワイシャツが気持ち悪い。
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