ずっと好きだと言えなかった
これで彼女達から何か言われることもなくなるだろう。
そうだ、これでいい。
平和な日常が戻ってくる。
いちゃもんを付けられることがなくなるんだね。
良かった、良かった。



「…けほっ、けほっ、」



そう思おうとすればするほど、苦しくなる。雨ではない何かが頬を濡らした。呻き声が零れる。


いや、苦しいのは咳のせい。風邪のせいだ。
風邪のせい、……なのに。
< 141 / 220 >

この作品をシェア

pagetop