ずっと好きだと言えなかった
校内中を隈無く捜してくれたんだろう。乱れた髪と滴る汗がそれを物語っている。


申し訳なさすぎて罪悪感が芽生えてくる。



「……ごめん」

「無事なら良い」



背を向けて歩き出す千葉君の後を慌てて追いかける。横に並ぶと彼はポツリと呟いた。



「さっき、」

「え?」

「片瀬が――――…」



千葉君の声は授業開始を知らせるチャイムの音と被り聞こえなかった。
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