ずっと好きだと言えなかった
「ど、同情ですか?」
「は?」
「だ、だって携帯見たんですよね。いや、見たんだよ、ね?」
慣れないタメ語。
しどろもどろに聞く。
彼は可哀想なわたしに同情してくれてるんだ。
このスッカラカンな電話帳を埋めてくれようとしてくれてる。
千葉くんは“見た”と言った。
それはこの、あまりにも登録数が少ない、少なすぎる電話帳を見たことだと思う。
お父さん
お母さん
妹
おばあちゃん
もう連絡はとってない友達
一応交換したクラスメイト
ほんとにスッカラカン。