ずっと好きだと言えなかった
「……図星?」

「……うるさい」



な、何なんだろう。
何を言えばいいか分からない。
とりあえず俯く。
わたしも真っ赤だと思う。
千葉君を見てたらわたしも恥ずかしくなってきた。
二人揃ってリンゴなんて可笑しすぎる。



「戻る」

「え?」



前の席に座り肘を付いていた千葉君はガタリと席を立った。
呆気にとられて見上げるとまだ少し顔が赤かった。
ズボンのポケットに手を突っ込む千葉君は、照れ隠しからかソッポを向いている。
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