ずっと好きだと言えなかった
万が一気付いたとしてもきっと、この時のわたしには千葉君が見せた表情の理由はわからなかった。


どうして曇ったのか見当すらつかなかっただろう。


そしてこの後すぐに担任がやってきた。既に着席していたわたしを見て驚いていたのは言うまでもない。このやり取り何度目だろう…と少し朝から憂鬱だった。何れ程根強く、片瀬=遅刻魔とイメージがついてるのやら、


しかしマフィンのことを思い出して機嫌はうなぎ登り。
ち、千葉君が食べてくれた…!
さっきの事を思い出すだけで顔が緩む。ニタニタと笑う。なんとも引き締まりのない顔。口元を手で覆った。


そしてHRがはじまった。


――――これがある朝のひととき。








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