ずっと好きだと言えなかった
「……あー、引っ越した」

「え、そうなの?」

「嘘」

「え!?」



どっち!



「コッチからでも帰れるから」



上手く誤魔化された。


そこから他愛もない話をしていると等々枝分かれした道に。



「あ、わたしの家コッチだから。傘ありがとう」

「………ん、送る」

「えええっ、い、いいよ!だって千葉君の家あっちだし!」

「じゃあ、傘貸す」



譲らない千葉君。
わたしも譲れない。
どうしよう何か変な気分だ。
こんなに誰かが心配してくれるのは初めてだ。
む、むず痒い。
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