【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
むしろ、下心なんてワードを知っている
のかさえ謎だ。
じ、と杏子を見つめる俺に、杏子はきょ
とんと首を傾げる。
俺はそんな杏子に、少しだけ笑って見せ
た。──といっても、ほんとに見分けも
つかねえくらい、少しだけ。
「……吉馬が、オムライス食いてぇんだ
と」
「あ、オムライス!ここのオムライス、
美味しいよね!」
相当好きなのか、いまにも溶けてしまい
そうな笑顔を浮かべる杏子。
「そうだな。俺的にもオムライスには、
衝撃的な思い出もあるし、な」
ちょっと意味深にそう言ってやれば、理
解したのか、杏子の顔がサアッと青ざめ
る。
そして、おずおずといったように俺を、
見上げた。
「あ、あの……。あの時は……ごめんね
?」
「……っ」
……っ本当、こいつ、タチ悪ぃ。