【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
どうしたのかと顔を上げようとした刹那
、温かい風が、ふわりと耳朶を撫でて。
「杏子」
「……っ!?」
低く、だけどどこか優しい声で、そう名
前を呼ばれた。
っ、なんか……心臓、ドキドキしすぎて
死んじゃいそう……。
「な、に……?」
やっとの思いで喉からスルリと抜け出し
た声は、動揺しすぎて上擦って居て。
皐君の顔を、真っ直ぐ見ることなんて、
無理だった。
「……吉馬の、真似」
そう答えた皐君は、スッと離れていき。
「……吉馬、行くぞ」
と吉馬さんを連れて、去っていった。
……っ真似って……!
なんだろう。皐君、すっごく意地悪だ。