【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
そして、スッ、と手を伸ばしてきたかと
思えば、私の頬をするりと撫でて。
冷たいその指先が触れた部分から、更に
熱がじわじわと蔓延してくる。
「……ムカつく。凌斗にもそんな顔、見
せたの?」
「へ……?」
そんな顔って……どんな?
訳がわからず皐君を見上げていると、皐
君の眉間に、皺が増える。
……あれ、怒ってるのかな?
「……そんな目で見んな。俺のこと、誘
惑してんの?」
「誘惑……?」
そう聞き返すと、皐君は意地悪そうに笑
って。
「食っちゃうよ?杏子のコト」
と背筋がゾクリとするような声で、囁い
てきた。
こ、この声……一体どこから引っ張り出
して来てるんだろう……?