【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
胸の奥から湧き出る欲望と本能に身を委
ねるようにして、杏子の唇に、自分のそ
れを近付けた時───。
───コンコン。
俺の衝動を止めたのは、ノックの音だっ
た。
「杏子ー?皐君ー?開けてもいいー?」
そんな杏子のお母さんの言葉に、小さく
ため息を溢しながら、す、と杏子の上か
ら起き上がる。
そして、放心状態になって動けないでい
る杏子の腕をそっと引っ張った。
杏子を起き上がらせてから、ドアの方へ
と歩いていき、ドアを開ける。
「どうしたんですか?」
ドアの向こうでニコニコ微笑む杏子のお
母さんの両手には、和菓子の乗ったお盆
。
「休憩にどうかしら、と思って」
「すいません。ありがとうございます」
そう少し微笑むと、「じゃあ、杏子のこ
とヨロシクね」と言って、去っていった
杏子のお母さん。