【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
・モヤモヤ×涙×発覚
【杏子side】
楽しかった夏休みもあっという間に終わ
り、二学期が始まってから早一ヶ月。
十月だというのにまだ少し残暑が残る異
常気象の中、私の身体にも異常事態が発
生しています。
「ん? んー……。んー……?んん?」
「なに唸ってるの」
シャーペンのノック部分を顎に当てて、
眉間に皺を寄せながら唸る私に、皐君が
呆れたような声を出した。
「え?あは……ちょっとここの問題、難
しくて」
ごまかすようにそう笑えば、皐君は手に
していた教科書を閉じて、私の隣にやっ
て来た。
「どれ」
「……っ」
皐君がワークに顔をぐいと寄せたから、
私との距離も近くなって。
ふわり、と皐君から、いい香りがした。
そして。