【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
───ドクドクドクドク……。
ほら、異常事態。
夏の終わりの頃から、ずっとこう。
皐君が近くに来るだけで。吐息がかかる
だけで。手が、触れあうだけで。
それだけのことなのに、心臓が破裂しそ
うなくらいに暴れだすんだ。
前にも少し、ドキドキすることはあった
けど。
それとは比べ物にならない。
だってもう、ドキドキじゃなくて、ドク
ドク言ってるんだもん。それに、身体中
どこもかしこも熱い。
いくら残暑が残るとはいえ、この熱さは
異常だとおもう。
「───ず……杏子」
「ふえぃっ!?」
急に視界ドアップに、皐君の顔が映りこ
んできたから、思わずすっとんきょうな
声を出してしまった。