【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
「……あっ!」
ソイツの、小さくて潤んだ唇が言葉を紡
ぎかけた瞬間。
「ちょ、ちょっとぉ!皐くんになにして
くれちゃってんのよ!」
「そうよ!制服が汚れちゃったじゃない
!!」
俺の大嫌いな声が聞こえてきて。
……ほんと、でしゃばりすぎなんだよ、
お前ら。
「───……うるせぇな」
我慢も限界になってそう言えば、この世
の終わりみたいな顔する奴等。
俺はそのまま言いたいことだけを言って
、カーディガンを脱ぎながら食堂から出
た。
だから嫌だったんだよ。結局嫌なことば
っかりじゃねーか……。
「り、きゅう君……っ」
その時、ピアノの音色みたいな綺麗な声
と、小走りする足音が聞こえてきて。
ぶつかってきたあの子だってすぐにわか
ったけど。