【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
黒い艶やかな髪の毛を靡かせて、綺麗な
二重を細めて、赤く塗られた唇に弧を描
いていた。
目も眩むような、大人の女の人。
いつも女の子が近付くと鬱陶しそうにす
る皐君が、なにも抵抗していない事が、
何故だかすごく辛かった。
女の人は、苦手じゃなかったの?
どうして嫌な顔ひとつせずに、されるが
ままなの?
別に皐君が笑ってるんじゃない。皐君は
無表情だったけど。
……なんでこんなに、痛いの。
もうそれいじょう二人を見ていられなく
て、そこから逃げ出そうとした時。
「杏子!」
急に腕を後ろから引っ張られて、そのま
ま誰かに抱き締められた。
耳元で、荒い吐息が聞こえる。
「どこに行くつもりだよ……」