【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
それは凌斗君の声で、そういえばここで
待っててと言われたのを思い出す。
「ここに帰ってきて、お前が居なくなっ
てたら俺がどれだけ傷付くかわかってね
ーだろ」
ちょっと怒ったような、悲しんだような
声でそう言う凌斗君。
「……ごめんなさい……」
そう呟くように謝ると、くるっと身体を
反転させられて、凌斗君と向き合うよう
になった。
思わずうつむく私を見つめる凌斗君。
「……泣いてんの?」
「……っ」
慌てて涙を止めようとするけど、止まっ
てくれなくて。
胸が痛くて、痛くて。
痛みに耐えるように唇を噛んでいると。
「皐?……と、瑞希(みずき)さん…
…?」
という凌斗君の声が聞こえてきて。
あの皐君の隣の人は、瑞希さんっていう
んだと、ただ漠然と思った。