【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
……ムカつく。
こっちは触れたくてたまらねえのに、理
由もわからず避けられるとか、納得いか
ねえ。
「ま、頑張れー」
そんな気の抜けた吉馬の声を背に、俺は
教室を飛び出した。
つか、こんな日に限って、HR終わるの
が一番最後とかふざけてる。
もしかしたら帰ってるかもしれない、と
昇降口に行けば、まだ杏子の靴があった
。
……てことは、教室か?
いつの間にか校内に残ってるのは数人だ
けで、静かな廊下を自分の足音だけ響か
せて歩いていた。
そして、杏子の教室の前まで来た時、胸
を突き刺された感覚に陥った。
杏子の華奢な体が。
男に───凌斗に包み込まれていて。
無理やり抱き締められたんだ、と自分を
納得させようとしても、凌斗の背中に回
された杏子の腕が、そんな微かな希望論
を打ち砕く。