【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
【杏子side】
「ちょ、杏子……どうしたの?」
11月のある日。
どんよりオーラを漂わせる私に、律希ち
ゃんが怪訝そうな表情を浮かべた。
「避けられてる……」
「は?」
「皐君に……避けられてる……」
あれから何度も話かけようとしたのに、
いつもどこかに行っちゃうし。
家庭教師をしてくれてる時も、いつもみ
たいな他愛ない話なんか一切なくて。
まるで、皐君との間に、一枚の大きな壁
が隔てられてしまったみたい。
「……なんで王子が杏子を避けるの」
「わかんない……」
そんなの、こっちが聞きたいよ。
日に日に苦しさは増してくばかりで、モ
ヤモヤも募ったまま。
……苦しい、よ……。
ぎゅ、と目を瞑ってうつむくと、律希ち
ゃんが優しく抱き締めてくれた。