【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
「なんでそういうこと言うんだよ」
冷たい、ちょっと怒ったみたいなその声
にビクリと肩を揺らす。──その瞬間。
ぎゅ、と身体を圧迫されて。
「凌斗と付き合ってるくせに、そういう
のズルいでしょ」
そんな切なげな皐君の声が耳元で聞こえ
てきて、抱き締められてるんだと気付い
た。
私を包み込む、皐君の身体。
ふわり、と皐君の良い香りがただよって
きて、どうしてか泣きたくなった。
「杏子が凌斗の彼女なら……杏子って呼
ばれるのも凌斗が嫌だろうと思って如月
って呼んだのに」
……ん?
って、ちょ、ちょっと待って……?
「なのになんで──」
「さ、皐君、私、凌斗君とは付き合って
ないよ?」
そう言うと、部屋の空気が一瞬にして止
まった。