【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
それから、ふと、その瞳に甘い色を落と
して、私を見つめる。
やけに熱っぽいその視線に、顔が熱くな
っていくのがわかる。
「杏子……」
少し掠れた声で、私の名前を呼ぶ皐君。
ただ名前を呼ばれただけなのに、耳が溶
けちゃうんじゃないかと思うような、そ
んな声。
皐君は私を見つめたまま、手のひらを伸
ばしてきて、両手で包み込むみたいに、
私の頬に触れた。
皐君が触れた部分から、熱が発生して。
なんでかすごく恥ずかしくて目を逸らそ
うとすれば、そうはさせまいというよう
に、そのまま顔を持ち上げられた。
「……じゃあまだ、触れてもいいんだ」
ふと、皐君がそう呟いたかと思うと。
次の瞬間、視界を埋め尽くしたのは、皐
君の綺麗な顔で。
皐君にキスをされたと気付くのは、それ
からしばらく時間がたってからだった。