【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
皐君から目を逸らしたいのに、真っ直ぐ
な瞳に囚われて、逃げられない。
ドキンドキンと、耳の奥で、煩く心臓が
鳴っていた。
「わ、私……」
ただ、一言言えばいいの。
好きです、って。それだけでいいのに、
それだけのことがこんなにも難しいだな
んて。
震える唇を、どうにか開く。
それから、少し潤んだ視界で、私も真っ
直ぐ皐君を見つめ返した。
「……好き、だから……。好きです、皐
君が……ずっと───」
好きだったんです、と言おうとした言葉
は、皐君の温もりに飲み込まれた。
ぎゅう、と強く。だけどどこかやさしく
抱き締められて。
「……やっと、捕まえた」
そんな皐君の声が、耳の奥にずっと残っ
ていた──。