【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
小さな頃からコキ使われ。
小さな頃は瑞希よりも弱かった俺は、瑞
希に逆らえるわけもなく、どんな命令も
聞いていた。
時には台風のなか、お使いにいかされ。
大雪のなか、お使いにいかされ。
バレンタインには、得体の知れない物体
を食わされ気絶し。
そんな日々を送っていれば、瑞希に恐怖
心を抱くのも当たり前だった。
いつからか、俺は瑞希を心のなかでこっ
そりと"魔女"と呼ぶようになっていたん
だ。
去年姉貴が結婚してからは、ようやく地
獄のような生活から解放されると思って
いたけど、現実はそう甘くなく。
今でもこうして、恐怖に怯えてる。
こんな女といれば、女嫌いになるのも普
通で。
しかも近寄ってくる女は、皆顔目当てで
。それにも嫌悪感を抱いて。
女なんて、と思うようになっていた。
だけど、杏子は──。
杏子は、他の誰ともちがくて。
気付いたら、惹かれてた。他の誰とも違
う、その優しさに。やわらかさに。