【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
その声の主は凌斗君で、今来たばかりな
のか、まだ鞄を背負っていた。
凌斗君はびっくりして目をパチパチさせ
る私に少し微笑んで、私の頭を優しく撫
でてくれた。
「良かったな」
「……うんっ!」
すると、何故か律希ちゃんが不思議そう
に首を傾げた。
「……千明ってさ、杏子の事、好きなん
だよね?」
「え、律希ちゃん、違──」
「好きだけど?」
えっ!?
律希ちゃん、違うよ。凌斗君はもう私を
好きじゃないんだよ、と言おうとしたの
に、凌斗君がさらっとそんなことを言う
から、すっとんきょうな声が出てしまっ
た。
え、……え!?
目を最大限まで見開いて凌斗君を見れば
、凌斗君は怪訝そうに私を見下ろす。
「まさか、もう俺が杏子を好きじゃない
と思ってたわけ?」
「え、えっと……」
「そんなすぐに諦められるわけ無いだろ
。まだ、好きだよ」