【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
いつもみたいにニコニコ笑って、「そっ
かー」っていってくれれば良いのに、何
で今日に限ってそんな真剣なの!
「もしかして、律希──」
双葉が、そうなにかを呟いた時。
「……律希?」
聞こえてきたのは、愛しくて苦しい、城
田君の声で。
ハッとして上を見上げると、城田君が驚
いたように私を見ていて。
そして、私と双葉を見て、僅かに表情を
歪めた。
「律希──」
「……っ」
あ、ダメだ。
城田君を見ただけで。
名前を呼ばれただけで。
すごい苦しい。
……このままじゃ、泣きそう……。
「……ごめん双葉!先生に遅れるって言
っといて!」
だから私はそう言って、双葉の腕を振り
払い、そこから逃げ出した。