【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
だけど留年は嫌だ、なんてわがままな事
を思いながら、数学の解答用紙を泣きた
い思いで見つめた。
もう、どうしたらいいんですか……。
───ここ、西ノ宮高校に私、如月 杏
子〔きさらぎ あんず〕が合格出来たの
もほとんど奇跡のような話だった。
どうしたって数学に足を引っ張られなが
らも他の教科と内申で点を稼いで、やっ
との思いで入学。
二年生になれば教科選択できるけれど、
一年生は出来ないからどうしたって数学
をやらなくてはならない。
本当に地獄だと、思う。
私の見た目は、律希ちゃんには到底及ば
ない小さな身長。
目はお母さん譲りのタレ目で、黒目がち
で、生まれつき睫毛が長いのが唯一自慢
できるポイント。
小さな頃から伸ばしてきた真っ黒な髪の
毛はいつも二つに結わいている。
「……まあ、勉強出来なくったって、杏
子は可愛いから大丈夫」
「意味不明だし、可愛くないし!」