【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
なんだろう……なんだかすーっごく、嫌
な予感がする。
いつもとは違う、ピリピリしたオーラを
感じ取った私は、ドアノブに伸ばしかけ
ていた手をぎゅっと掴み、クルッと踵を
返して。
とりあえずどこかに逃げてしまおう、な
んて漠然に思ったのだけど。
「───待ちなさい」
ゾッと凍てつくような声が聞こえてきて
、逃げ出したいのにまるで金縛りにあっ
たかのように動けなかった。
こ、この声は───……。
「お帰り杏子。帰ってきたばかりなのに
、どこに行くつもりなの?」
「お、お母さん……」
そこにはニッコリと張り付けたような笑
顔のお母さんが立っていて。
目が……目が、笑ってないです……。
いつもよりも低い声に、私の笑顔もひき
つる。