【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
「ま、だから律希ちゃんの顔、覚えてた
んだけどねー。俺らを見つけても、目も
くれないからねー」
「……くだらないね。杏子、行こう」
ふ、と微かに笑ってからそう言った律希
ちゃんはすたすたと歩き出していて。
私も慌てて追いかけようとして、あるこ
とに気付いた。
そうだ……!離宮君に挨拶してないや!
そう思って、駆け出しかけていた足を止
めて、クルッと振り返る。
「り、離宮君!」
そう言うと、離宮君は目線だけをこっち
に向けてくれた。
「……お、おはようございます!」
「……はよ」
私が挨拶をすると、離宮君は無愛想だけ
ど、ちゃんとそう返してくれて。
氷の王子様だなんて、きっとただの噂だ
と思った。