【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~
「お帰り、杏子」
玄関のドアを開けたと同時に、目の前に
立っていたお母さん。
まさか待ち伏せされているとは思ってな
くて、ビクッと大袈裟に震えてしまった
。
お母さんの言葉の語尾に、真っ黒なハー
トが見えるのは、気のせいでしょうか…
…。
「た、ただいま、お母さん」
ニコッと微笑んでから、靴を脱いで、何
事もないかのようにお母さんの横を通り
過ぎようとした私の腕を、お母さんがガ
シッと掴んだ。
「あら。逃がさないわよ」
「……っ」
本当は部屋に入って、鍵も閉めちゃって
、閉じ籠ってしまおうと思ってた。
……だけど、見透かされていたみたい。
もう、きっと助かる術はないんだ……。
私はもう、ここまでなんだ……。これか
ら数学と仲良しにならなきゃいけないん
だ……。