紅いイヤホン【完】
「…はい、深呼吸してー」
「すぅっ…はぁー…すみません、急に泣き出して…。」
「いや、全然。…話せる?」
リュウさんはあたしが泣き止むまでずっと背中をさすってくれていた。
はぁ…ちょっとスッキリ。今なら大丈夫。
「はい。…あの、リュウさん。最近かおるさんに変わった様子とか見られませんでした?」
言った。
言えた。
あたしの質問に、リュウさんはうーんと考え込む。
心の中で深呼吸を繰り返しながら待つ時間はなんだか落ち着かなくて…。
ぎゅっと握りしめた手が少し震えた。
「…全く無いって言ったら、嘘になるかな。」
…やっぱ、り…。
なんだかふっと、身体の力が抜ける。
リュウさんがそういうなら、間違いない。
「なんか…元カノから連絡来たみたいだった。」
元カノ…
かおるさんの過去の話聞いたことない…。
「そ、ですか…。」