紅いイヤホン【完】
ねぇかおるさん
かおるさんの目に映ったあたしは、綺麗に笑えてた?
いつもいつも、あたしを誉めるときは
可愛いしか言ってくれなかったよね。
あたし、気にしてたんだよ?
たった3歳の年の差が
いつもいつも、苦しかったー…。
頬に当たった雫は
あたしじゃないけど
代わりに、空が零してくれた涙だね。
雨足は強まらず、少しずつ、あたしを濡らしていく。
音楽プレイヤー、持ってきて良かった…。
「確か…あの歌…。」
あった。
紅いイヤホンをつけると音楽が流れ出す。
雨がテーマの、悲しい恋の歌。
大好きな人と会えなくなったってところが…今のあたしにリンクした。
歩く足が徐々に早まって
いつのまにか駆け出していた。
あたしの頭に残るかおるさんは
今にも泣き出しそうで…。
最後にかおるさんが触れてくれた腕から
完全に、温もりが消えた。