紅いイヤホン【完】
「…落ち着いたか?」
リュウが再び入ってきて、正面に座る。
「あのさ…かおる。」
「…なんや。」
「お前、明里(あかり)と寄り戻すとか、紫衣ちゃんを好きじゃなくなったみたいなこと、思ってないよな…?」
……は…?
なんでここで明里が出てくんねん。
紫衣は明里のこと知らんし、関係ないやろ?
て…俺が、紫衣を何つった?
「思っとるわけないやろ!!俺には紫衣だけやねん!」
「わ、わかってるから興奮すんなって!深呼吸して、落ち着けよ。」
落ち着いてられるわけない。
紫衣は…紫衣は
俺が好きや無くなった思ってるん?
「多分、紫衣ちゃんは、お前が明里と寄り戻したがってるって思ってる。
『全部繋がった』って言ってたから、なんか見たか知ったかしたんじゃないかな…。」
明里と?
そんなアホな話あるわけないやん。
「ごめんな、紫衣ちゃんに関わるなって言われたから入っていけなかった…。」
リュウは悪ない。
紫衣が何を考えてるかわからんけど、きっと
悪いのは俺や…。