紅いイヤホン【完】
「……んぅ…」
窓を打つ雨と、チャイムが鳴る音で目が覚めた。
「はーい……今、何時…」
…て、もう3時じゃん。
どんだけ寝てんのあたし…
宅配便かな?
お母さんがなんか送って来たのかも。
玄関前の鏡で姿をチェックして髪を整えてからドアを開けた。
そう、ドアの向こうをちゃんと確認はしなかった。
ーガチャ
「………っ!?」
「……し、い…」
なんで。
なんで今更来たの?
しかも…約束の時間に…
なんの用で?
驚きすぎて動けない。
そしてまた、心の何処かであたしは
再びかおるさんに会えたことを喜んでいた…
「…入れてくれへんか。話があんねん。昨日、俺は紫衣の話を聞いたから、ええやろ…?」
その問に、否は無かった。