紅いイヤホン【完】








身体中から力が抜ける。



あたしを想ってくれてる…





その事実がどうしようもなく嬉しくて、同時に申し訳無かった。






「ごめん…。」




「ごめんなんて、要らんねん。俺が欲しいのは…紫衣の心やねん…。」






あ、れ…




かおるさん、かなり暗い。




誤解解けたのに…なんで?





「…?とりあえず、ソファ座ろ?」





腕を取って2人並んで座る。



そのまま腕に抱きつこうとしたけど、それはさせて貰えなくて



代わりに肩を掴まれたと思ったらびっくりするぐらいの力で抱きしめられた。





華奢なかおるさんからは想像もつかないほど、力強く。







「紫衣…」



「…かおるさん?」



「片瀬って…どんなやつなん?」











…へ。




片瀬…くん……?







…っ あぁぁぁぁぁっ!!




片瀬くん!!



そうだ、あたし昨日…





「ごめんかおるさん!片瀬くんの話全部嘘!」




「…は、はぁっ?!」






そうだよ。あたしも誤解解かなきゃいけなかったんじゃん!




バカだ紫衣ーーー!




上目遣いに見つめて話し出す。




「かおるさんに好きな人が出来たなら、あたしから離れようと思っただけなの…。ていうか片瀬くんって、めちゃかっこいいけど……オネエだから…。笑」







「…な、なんやねん…っ」




そう。



隣のクラスの片瀬勇太くんは、とってもイケメンなのにオネエといういわゆるオネメン。




「てゆか片瀬くんの話前にもしたけど!あたしの話覚えてないんだー…。」





「…俺に話したやつのことを使う紫衣もアホやん。」






…うぅ。




ごもっともで、言い返せない…。








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