紅いイヤホン【完】
「…なら、今でも紫衣は俺んこと…」
「大好き。好きすぎる。」
「……良かった。」
本当に良かった。
結局あたし達、勘違いしまくってすれ違ってただけ…。
また抱きしめ直された。
耳元で囁くかおるさん。
「…これからは、嘘つくのなしやで。」
「わかってる…泣かせてごめんね。」
「紫衣も泣いたんやろ…もう…何があったも離さへんからな…。」
あったかい。
外は雨だから室内の温度は低くてちょうど良い。
やっぱり、かおるさんが隣にいないとダメだなぁ…。
「紫衣…」
「なぁに?」
今日のかおるさんの声は切なくて落ち着かない。
まだなんか不安…?
「紫衣…。ずっと、一緒に居ってな。」
「当たり前じゃん…。」
あたし、もう絶対離れないもん。
「あ、そうだ!」
プレゼント…一生懸命選んだピアス。
一旦腕から抜け出して部屋の片隅に追いやっていた紙袋を取った。
「はい!一年記念日のプレゼント!」
「お…アクセサリーか…?」
うふふ。
今まであげた中でも特に自信があるんだ。
「…めっちゃええやん!これ、店の近くのとこか…ほんまありがとう!」
かーわーいいっ!!
すぐさまピアスを替えようとして、手間取ってる姿がまた可愛い!
「似合う?」
「うんっ!あたしが選んだだけあるー!」
「ははっ…そうやな。」
…渡せて、良かった…。