ラストコール
『何よ』
不思議そうな彼女の声を懐かしく感じながら僕は電話を持ちかえた。
「明日、君はきっと生徒会長さんに思いもよらないことを言われるよ。」
『は?どういうこと?』
「明日も、電話できるか?」
『え、この時間に?構わないけれど。どうして?』
「君と会話がしたいからって理由じゃいけないのかな。」
電話越しの彼女から微笑んだような声が漏れた。
これくらい言ったって、罰はあたらないはずだ。今まで神という存在を信じるどころか恨んでいたが今回だけは感謝の意を示したい。
『それじゃ、また明日。』
「また明日。」
切った携帯の画面には機械的な文字で「残り7」と書かれている。
何の事かわからないのでとりあえず放って横になる。
まぎれもない彼女の声。
胸がこんなにざわつくのは、嬉しさの所為か、哀しさの所為か。
(もう話すことが出来ないハズの彼女と話している、話せている)
(それだけで、今は充分なんだ)

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