くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「それだけじゃない」


野島が美紀さんの話に付け加えた。


「乱開発による生息環境の悪化に、赤潮や青潮による貧酸素水塊……つまり酸素が含まれてないか殆ど含まれない水域が世界中の海で拡大傾向にある。
他にも海流の異常蛇行や……挙げたらキリがないけども、一番の問題は地球に棲む龍が死にかけていること」


野島の話を聴けば聴くほど、あたしは何にも知らない、無関心だったと痛感した。

何気ない毎日でも、きっと知る機会はあったはずなのに。


けど、今は野島の話に興味が湧いたから素直に訊いてみた。


「地球の……龍ってなに?」


まさか本当に龍がいるとは思えないけど、今日はやたらに龍に関して見聞きするから、何か奇妙な期待感で野島の答えを待った。


「婆ちゃん、かき氷は後にしてもいいかな?」


まだ氷をかく前のサチお婆ちゃんに野島が確認すると、お婆ちゃんは「ええでな」と気安く了承してた。


「鈴本、海に行こうぜ」


野島は立ち上がって唐突に言うとすぐ目の前の波打ち際に向かって駆け出した。


呆気に取られたけど、野島が
「あっちまで勝負! ドベだったヤツがかき氷と好きなもんを全員おごりってことで!」
と叫んだから、カチンときてすぐに後を追いかける。
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