くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「負けないからね~!」
野島はあたしが走ってくる姿を見て腰に手を当て足を止めたまんまニヤニヤと笑ってたから、余計にアタマにくる。
なによ! 途中で足を止めたりなんかして……余裕綽々じゃん。
こんなに休んでもおまえにゃ追いつけないよ……ってからかわれてるみたいでムカつく~!
「うわ、瑠璃香が走って立ててる砂ぼこりがすげえ! 黄砂並みに視界が不良になってるぜ」
野島がおどけて余計な事を言うから、ムカッと腹に据えかねた怒りを足に集中させてスピードアップし、猛然と野島に迫った。
「このお! 誰が黄砂よおっ!」
腕を振り上げながら叫ぶと、野島は縮みあがったふりをしながら弾けるように走り出す。
「きゃあ~~こわぁい! 鬼女が来るわ! 角も牙も生やして刃を振り回してるの! 助けてぇん」
「だ、誰が鬼女ですって!? あんたこそウナギみたいにクネクネしてるクセして!
もう許さないから!待ちなさあ~~い!!」
オカマ声でクネクネと体をくねらせた野島をあたしは夢中で追いかけ回した。
あのふざけた声を出す口に砂でも詰め込んでやりたい気持ちでいっぱいで、とにかく一生懸命に後を追う。