くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「へえ、これはあんたのかい?」
金髪があたしを値踏みするような目つきでジロジロ眺めた後に言った。
「そ、そうです。ぶつけたことは謝ります、ごめんなさい」
あたしは頭を深々と下げた。
だけど、卑下た笑いを浮かべた金髪はあたしにこう言った。
「あんたに謝ってもらっても何の足しにもなりゃしねえ……そのダチを寄越しな。そうすりゃペンダントは返してやるよ」
亜美が背後から怯えた声を上げたのがわかる。
そりゃあペンダントは大切だけど、亜美だって大事だ。こんな取り引きになんか応じられるわけがない。
だけど、金髪はそばにあるダストボックスが凹むほどの鋭い蹴りを披露して、あたしに脅しをかけた。
「どうする? 自分のアタマがこうなりてぇか?言っとくけどなあ、オレら女だからって容赦しないぜ?」
響いた大きな音に店内のざわめきがピタッと止み、こちらに注目が集まってるのがわかるけど、誰一人助けてくれない。
どうしよう……どうしたらいいの?
真っ白になりそうな頭で考えてると、意外な声がカウンターから聴こえた。
「やめなよ、嫌がらせは……大の男4人がかりでねえと女一人どうこうできねえのかよ?なっさけねえヤツらだな。ぶら下がったモン切ったらどう?」
そんな傲岸不遜な声が出たのは、野島の口からだった。