くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
~水の中で
野島の後をつけたあたしは尾行がバレて、今一緒に小屋の中にいるんだけど、なぜかヤツがあたしの手首をがっしりと掴んだ。
……黙りこくったままで、なんかいつもの野島と違う雰囲気。
気分が悪いかとあたしが訊いてもろくに返事もしなくて。
「ねえ……手が痛い。離してくれる?」
野島が何を考えてるのかわかんないけど、なんかこのままじゃいけない気がしたあたしは、掴まれた手を動かしてそう声をかけた。
何にせよ、なんか思い詰めてるふうにも取れたから、そんな顔は野島には似合わないよと違う話題を振ろうとしてみた。
「あ、ねえ。コロッケ美味しかった? 」
……結局食い物の話かいな!
あたしは自分で自分に虚しいツッコミを入れた。
でも、野島はまだ喋らない。
このままじゃ埒があかないわ。
仕方ない、この瑠璃香さまが特別大サービスをしてあげましょう!
あたしは体を動かして野島に向き直ると、やつの手に手を重ねて言ってみた。
「ねえ、何かあるんだったらあたしに言ってみなよ。話すだけでもすっきりするからさ。
そりゃ、解決する確約なんかできないけど、少なくとも内にため込むよかマシだって」