くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
なんて卑怯な事を!
とは思うのだけど、あたしもガクガクと足が震えて立っているのがやっとで、これ以上勇気を出せない。
曾おばあちゃんの形見のペンダントは金髪男の手首にかかったまま。
どうしよう……。
ピリピリした空気で緊張感が高まる中、異様に間延びした声がそれを打ち破った。
「お待たせ致しました~~オレンジフロートとホットコーヒーです」
それは、トレーを手にした野島から発されたものだった。
……何してんのあいつ!?
この空気が読めないなんて、相当KYなヤツなの?
「なんだよ、てめ。お呼びじゃねえんだよ」
タトゥーを入れた男が凄むけど、野島はいつものおどおどした様子で平謝りした。
「ご、ごめんなさい……だけど確かにこのテーブルだと注文票にあったもので。すぐに下げさせていただきます」
野島はびくびくしながらテーブルに置きかけたホットコーヒーのカップを掴み……
それをトレーに戻す直前、タトゥー男の頭から盛大にコーヒーをかぶらせた。
「あち! あぢぢぢ~~!」
タトゥー男は顔を押さえて身悶え、それを見た周りの男がいきり立つ。