くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
亜美はやっぱり先に教室にいた。
こちらを見ようともしないから、あたしは亜美にずかずか近寄ると、その手を取って強引に階段を下りて裏庭に出た。
「ちょっと、瑠璃香。腕引っ張らないで!」
亜美は当然抗議したけど、あたしは容赦しなかった。
人気のない校舎裏に行くと、やっと手を離して亜美に言った。
「亜美、なんで話してくれなかったの? あんた加藤先生が好きなんでしょ」
あたしはストレートに亜美に言う。
すると、亜美は立ち止まったその場でうつむき、視線を手元に落とした。
「……ちがうよ。あたし……好きじゃない。
先生なんか好きになるはずないじゃん!
だって8歳も年が違うんだよ?
大人と子どもだよ!?
社会人と学生なんだよ!
何もかも違いすぎるじゃん。
好きになってもどうしようもない、それはあたしだって解ってる!
充分に解ってるよ!
だから……いけないんだって!
好きになったなんて、思っちゃいけないんだよ。
相手にならないどころじゃない……そんなに分別なしになりたくない」
一度落とした視線を勢いよく上げた亜美は、息を吸い込んで一気に言い放った。