くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
でも結局、午前中に野島の目があたしを見て、その口があたしを呼ぶ事はなかった。
「あんたたちケンカでもしたわけ?」
3時間目に保健室から帰ってきた亜美さえそう言うほど、野島はあたしだけを意識的に避けてたように見えた。
「あたしだってわかんないよ」
自分でいっぱいいっぱいの亜美も思いやれず、イラついたあたしは昨日と同じ物置小屋に向かう。
もしかしたらと期待したけど、茶虎の子猫以外に現れるはずの姿はない。
……お昼休みギリギリまで待ってみた。
子猫には自分のおかずを分けて、もうひとつのランチバックは開かない。
「きっとなにか用事ができたんだよね。でなきゃあいつがあんたをほっとくはずないもん」
あたしは茶虎の子猫に話しかけたけど、もちろん返事なんかない。
だけど、誰かに話を聴いて貰わなきゃ何かがぐらつきそうな気がして。
あたしという人間を支える根っこの部分が、大切な大切な場所が。
「きっと来るよね……」
あたしはそう言いながら子猫を膝に載せて撫でたけど、そう言い聞かせたかったのは自分自身だったのかもしれない。