くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
やっぱりいいな、この雰囲気。
「くるうみ」のパートナーを決める大切な1日。
男子は女子より早く登校が決められていて、教室で待機させられてる。
女子だけは登校したら体育館に集まり、山積みされたアイテムのうち好きなものを目隠ししたまま取る。
なんだかくじ引きみたいで面白いけど、3日間過ごす相手がこれで決まるから、エイヤッ! と一度で決める人はまれ。
中にはカレシとアイテムを事前に打ち合わせて……っていう策を弄する人もいるけど、何せ一度手に触れたら絶対にそのアイテムを手に取らなきゃいけないからさわり心地で試す訳にはいかないスリル溢れる選考方法。
まあ現代人には無謀とも言えるけど、何十年と続いた伝統行事だもんねえ。
くるうみで結ばれたカップルが結婚した例は枚挙に暇がない。
かくゆう校内の生徒の半分以上が「くるうみ」がきっかけで結ばれた地元民夫婦の子どもなんだから。
うちの両親も実はその典型的な例だったりするし。お互いに25年前の卒業生だから。
だから、みんな結構張り切ったりする。
「亜美、パートナー加藤先生だといいね」
あたしがこっそり囁くと、亜美は「バカ!」と返してくれたけど、照れたのが手に取るようにわかる。
くるうみは先生も参加するもんね。