くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
そういえば、思い出した……。
以前の野島はあんな雰囲気を纏ってた。
オドオドと気弱な部分もあったけど、何をするにしてもどこか引いてるっていうか、他人を寄せつけない隔絶した空気を持っていたんだ。
ハリネズミが警戒して棘を立てるみたいに、近づくだけで痛い目を見るぞと言わんばかりに。
……今の野島はあの時と同じ?
戻してしまったの!?
なんで……
せっかくみんなと打ち解け始めたのに、また孤立しようっての!?
……それ、許せないから。
あたしは自分の席に戻ってカバンから袋を2つ取り出すと、ツカツカと野島の机に近づいてバン!とそのランチバックと紺色の袋を強く置いた。
「野島 勇人! こんなので悪いけど、あたし鈴本瑠璃香がくるうみのパートナーになったから、よろしく頼むよ!」
「…………」
あからさまに大声で怒鳴りつけたのに、野島は紺色の巾着袋だけ手にすると、席から立ってあたしを一瞥することなく教室から出ていこうとした。
もちろん無言ですよ。
む……ムカつく。
こうなったら意地だわ!山潮の女の子の根性を舐めないでよね!
あたしは駆け足で野島の後を追う。