くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「なんでずっとあたしを見ないのよ!
答えなさいよ!
あたしはここに存在してるでしょ……生きてるでしょ!なんでなのよ。あたしの存在をあんたの中で無にしないでよ。認めなさいよぉ!!」


あたしは野島のそばほんの5センチの距離まで近づいて、その高い背の上にある顔を見上げた。


――だけど。


野島の目は絶対にあたしを捉えない。


あたしを突き抜けた遥か先を見てた。


あたしは悔しくて悲しくて、野島の胸を拳で乱打したけど、意外と胸板の厚いそれにはちっとも効果がないように見えた。


悔しくて……あたしの目から涙がこぼれ落ちて胸元を濡らしても、野島はあたしという存在がまるでないように扱う。


もう、どうしていいのかわからない。


楽しみだった射的や輪投げやお化け屋敷も、たこ焼きや綿あめやリンゴ飴も、今のあたしの心を浮き立たせてはくれない。


ただ、あたしの中では野島勇人という人間に対するいろんな感情でいっぱいで、それを整理しようにもあたし自身が混乱していてどうしようもない。


悔しさと悲しみと怒りと……焦り。


いったいどれから取り出して対処すればいいのか解らなかった。
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