くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「それじゃあ早速だけど、神社までの階段を上がる2人の姿をパチッと。並んで仲良く歩いてね」
美紀さんから早速注文が飛んだけど、そういえばとあたしは今さら気後れした。
あたしみたいなおデブちゃんより見栄えがいい女の子はたくさんいる。
お金は欲しいけど、あたしなんかの為に綺麗な写真が台無しになったら……と思うと、足が竦んで動かなくなった。
野島はサッサと階段を上がり始めたけど、あたしはどうしても最初の一段すら足を載せられない。
「あれ、瑠璃香なにしてんのさあ?」
神社の階段を下りてきたひとりの女の子があたしに声を掛けてきた。
「あ……」
少し変わった喋り方……ちょっと甲高い声。
トンボ柄の浴衣を着た細身の女の子を見上げれば、懐かしい三つ編みが左右に結われてた。
「もしかして、由美ちゃん?」
「そうだよ、覚えてくれたんだあ。うれしっぺな!」
あたしがぴょんぴょん飛び跳ねながら再会を喜んでると、美紀さんが声をかけてくれたから紹介した。
「瑠璃ちゃんのお知り合い?」
「小学生の時に転校した同級生なんです。 田中由美ちゃん」