くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
由美ちゃんは相変わらず可愛かった。

彼女が転校したのは小6の夏だったけど、その時から美人でクラスの人気者だった。


スレンダーな体に浴衣がとてもよく似合ってる和服美人だな……。


ふとあたしは思いついた事を美紀さんに提案してみた。


「美紀さん、モデルはあたしより由美ちゃんが適役ですよ。見ての通りかわいいし、写真写りは断然上ですよ。あたしは辞退します」


由美ちゃんだといい写真が撮れるだろうし、野島だっておデブなあたしよりかわいい人由美ちゃんの方がいいに決まってるもんね。


男の子はみんなそうだもん……。


きっと美紀さんや由美ちゃんにはわからないコンプレックスがあたしの中で渦巻いて、どうしようもなく胸が痛んだ。


「瑠璃香、モデルってなにさ?」


好奇心旺盛な由美ちゃんにモデルの話をしたら、彼女は目を輝かせて自ら志願した。


「面白いじゃん。あたし一度そんなの体験してみたかったんだぺ」


頬を赤らめて生き生きしてる由美ちゃんを見ると、亜美の家で見た鏡に映る惨めな自分の姿を思い出した。


やっぱり……由美ちゃんの方がいいよ。


「まあ……本人達の合意の上なら仕方ないけど」


渋々認めた美紀さんに、由美ちゃんの歓声が上がった。
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