くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
それと同時に気になったのが、野島があたしをどう捉えてたか、という部分。
元々あたしは1ヶ月前まで野島とは喋った事もないんだから、野島だってあたしに対しては他人という認識しかないはず。
だけど、野島は最初から親切で親しくしてくれた。
見知らぬ他人のあたしを不良から助けて、ケガしたあたしをおぶって家まで送ってくれた。
それだけでも充分なのに、野島は……。
野島はいろいろ優しかった。
あたしのわがままに渋々文句言いながらも付き合ってくれた。
本当に嫌いな相手になら、そんな事しないよね……?
あたしは嫌われてなかったんだよね?
今さら虚しいだけの、過去の思い出に縋ろうとした。
野島があたしの日常から消える、そんな事は考えられないくらいに、あいつはあたしの世界に入り込んできた。
デリカシーの欠片もない土足のままで。
野島は最初から自分を偽ろうとかカッコつけたりしなかった。
あくまで自然体のまま剥き出しの性質であたしにぶつかってきたんだ。
だからなの……?
あたしがいつの間にかあいつに惹かれてたのは。
そう……あたしはいつの間にか惹かれてたんだ。
野島 勇人というひとりの人間に。