くるうみ。~あなたと過ごした3日間~



平気……だよね?


曾おばあちゃん、あたしは曾おばあちゃんが褒めてくれたように、強い子だよね?


野島がいなくても平気なくらい、あたしは強いよね?


あたしは曾おばあちゃんのペンダントに浴衣の上から触れてみた。


認めたくなかったから。


あたしがいつの間にか野島がいる毎日に――してたことを。


あたしは顎に力を入れて歯を食いしばり、勢いよく顔を上げて野島を見た瞬間――


不覚にも心臓がギュッと締め付けられそうになった。


野島の瞳はあたしをまっすぐ捉えていたから。


何かの間違いかと目を瞬かせてみたけど、野島はもう目を逸らさない。


あたし鈴本瑠璃香という人間をまっすぐに認識するはっきりとした意志ある強い光を宿す目で。


「瑠璃香」


野島が、あたしの名前を。初めて名前を呼んだ。


その瞬間、あたしの中にふわっとした香りに包まれた温かさが広がって、身体じゅうの緊張を解いてゆく。


たったひとこと、それだけなのに。


野島があたしを呼んだ時の、いつもより低めのトーンの声音。


それはあたしの頭を痺れさせて再び思考停止させる力があった。
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