くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
クスリ、と野島が笑う。

胸ぐらを掴まれて絶体絶命のピンチってのに、なに余裕してんのよ、アイツっ!


「ふん、ひとりじゃなにも出来ねえ腰抜けのくせしてな。女一人どうこうするのさえ集団でないとダメダメなんだろ?
は、情けねえよな」


言わなきゃいいものを、野島はさらに余分な暴言を重ねて吐いた。


やっぱり、金髪は逆上してナイフを振り上げる。

それなのに野島は薄笑いを浮かべて避けようともしないし。


見てらんないっ!


あたしは思わず手近にあった石をつかむと、ナイフ目掛けて放り投げてた。


けど、当たったのは金髪の頭に。


「イテっ!」


「誰か居やがるのかあっ!?」


高校生なのにスキンヘッドなつるつる頭が叫ぶ。

ヤバっ!


なんであたしあんな事しちゃったのよ!?


自分を責めても後の祭りで、スキンヘッドと銀髪が石の飛んできた方角であるこちらに向かって防風林を回り込んでくる。


あたしは逃げるためにあたふたと立ち上がったけど、石に躓き派手な音を立ててその場に転んだ。


「……おまえ! さっきの女!!」


スキンヘッドがあたしを指差し叫ぶと、銀髪と一緒にこちらに走ってくる。
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